【音源レビュー】待望のリリース!木管音源の最高峰になれるか!?「Cinematic Studio Woodwinds」

どーも! ばっちょです!
ようやく発売となったCinematic Studio Woodwindsのレビューをしていきます。

今回は発売直後のレビューとなります。

音源について

Cinematic Studio Woodwinds(以降CSW)は、Cinematic Strings社が発売しているCinematic Studioシリーズの木管音源です。

これまでにStrings系、Piano、Brassとシリーズが続いてきましたが、ようやくの新作発売となりました。

当初の予定から2年以上遅れてのリリースとなるので、心待ちにしていたユーザーも多いのではないでしょうか?

発売と同時に公開された 公式の紹介動画

気になっている人へのおすすめポイント

シリーズ内 最多の楽器収録数!

まず気になる収録楽器についてですが、他シリーズと比較しても最多の楽器数となっています!
※()書き部分については公式ではないですが、日本での一般的な呼び方を記載しています。

フルート属

  • フルート・・・ソロ&2本 [C3~C6]
  • ピッコロ・・・ソロ [D4~C7]
  • アルトフルート・・・ソロ [G2~D5]

クラリネット属

  • クラリネット・・・ソロ&2本 [D2~F5]
  • バスクラリネット・・・ソロ [B♭0~D4]

オーボエ属

  • オーボエ・・・ソロ&2本 [B♭2~G5]
  • コーラングレ(イングリッシュホルン)・・・ソロ [E2~B♭4]

ファゴット属

  • バスーン(ファゴット)・・・ソロ&2本 [B♭0~D4]
  • コントラバスーン(コントラファゴット)・・・ソロ [B♭-1~B♭4]

各楽器は、楽器本来の音域のみ発音できるようになっており、それより下の音域に 奏法切り替え用のキースイッチが設定されています。(ユーザー任意でキースイッチとなる鍵盤は指定できます。)

ここら辺は他のCSシリーズと共通した仕様です。

基本的に本物の楽器が出せない音域は鳴らないので、クリエイティブなフレーズ表現は難しいですが、メインとは音域が異なる同属楽器も収録されているため、おおよそのフレーズをカバーできるのではないかと。

これだけ楽器があると、楽器に詳しい人にとっては編曲の幅が広がったり、譜面の再現がしやすいので助かるところです。

マイクポジションが増えて計4つのチャンネルから選択可能に

これまでのCSシリーズでは近めから順にClose、Main、Roomの3つがあり、それらを混ぜ合わせて音作りをするようになっていました。
※他にメモリ削減用として、最初からイイ感じの混ざり具合になっているMixというチャンネルもありますが・・・

CSWでは新たに、CloseとMain間にOHというチャンネルが追加されました。

画面左側には ユーザー調整のマイクが4チャンネル、Mix含め5本のフェーダーが並ぶ。

木管楽器は他の楽器隊に比べ音量が小さいため、実際のコンサートなどでは、音量レベルを合わせるために補助マイクが使用されたりします。

それを再現したのが、このOH(オーバヘッドマイク)チャンネルです!

これにより、木管楽器のみで使用する場合はもちろん、他楽器と合わせる場合についても定番の音作りを再現することができます。

早いパッセージにもピッタリ対応するレガート!

CSシリーズの最大の強みがレガート奏法の再現でした。

今回さらにこのレガートアルゴリズムが改良され、早いメロディーラインでも打ち込みやすさ・音のクオリティともに向上しています。

公式のYouTubeでも、全楽器のレガートをアピールする動画が用意されているほどです。

各楽器のレガートの音色を紹介するデモ

買う前に気を付けたいポイント

過去最高のサンプル容量

楽器数とマイクポジションが増えていますので、それに比例し音源トータルの容量も増加しているということに注意する必要があります。

ダウンロードするサンプル総量は98.5GBになりますので、事前にPCのディスク空き容量を確認しておきましょう。

ダウンロード時間も長いので、その間に公式デモを飽きるまで視聴できます。

アンサンブルパッチは後から追加予定

これまでのCSシリーズでは各楽器を1つのパッチ内にレイアウトした「アンサンブルパッチ」が用意されていました。

CSWでは このアンサンブルパッチが、今後のアップデートでリリースされる予定となっていますので、現段階では各ソロパッチしかありません。

他CSシリーズでは複数楽器の音源の場合、アンサンブルパッチが用意されていた。

これまでのCSシリーズで、アンサンブルパッチを作曲ラフなどに使用していた方には、アップデートまでお預けとなります。

ただ、楽器ごとの音域・音色の理解を深めたり、イメージしている楽器の音を適切に配置できるのは単体パッチの方なので、問題ない方も多そうです。

Alto Fluteに不具合?

唯一、最初のバージョンでの不具合とみられる事象がありました。

「Solo Alto Flute」のパッチで、マイクチャンネルをMix意外にしたときのみ、Marcatoの音が鳴りません。

最初はルーティングを間違ったと思い、DAWと5分くらい格闘してしまった・・・

ここはアップデートで修正されると思います。

買ってからのTips

ここからは実際に使用する際のTipsを記載していきます。

打ち込みが早くなる手順!

レガートのアルゴリズムが変更されましたが、「各ノートオンのタイミング調整が必要」ということは変わりませんでした。

  • レガートFast ⇒ -90 ms
  • レガートMedium ⇒ -130 ms
  • レガートSlow ⇒ -220 ms
  • Short奏法 ⇒ -60 ms

レガートの美しさはCSシリーズ最大の売りですので、この打ち込み調整は頑張りたいところです。

一つ一つ調整となると面倒ですが、手順を決めてMIDIデータを仕上げていけば、ほとんど手間にはなりません。

お勧めの手順は次のような流れです。

  1. 音源を立ち上げ、MainまたはCloseマイクのみを選択する。
  2. DAW上にLong奏法用・Short奏法用のトラックを用意する。
  3. Short用のトラックディレイを-60 msに設定し、まずはこちらにグリッドピッタリで打ち込んでいく。
  4. 打ち込み速度を優先するため、ほぼすべての奏法をMarcato固定で行う。
    (CSSのPizzicatoは例外として使用)
  5. フレーズのノート打ち込みが終わったら、奏法選択のキースイッチとなるノートを打ち込む。
  6. Long奏法のノートとキースイッチのみLong用のトラックに移動する。
  7. Long奏法の中でレガートにしたいノートを一括で選択し、まずはFastに必要な分だけノートをズラし、ベロシティはMAXにする。
  8. 一度 再生してみて、レガートをMediumやSlowにしたい部分があれば、それらの部分だけ選択し、さらにタイミングをズラすと共にベロシティを下げる。
  9. 音量などのオートメーションを書く。
  10. マイクとリバーブを調整する。

調整についてはCSSのレビューでも触れていますので、そちらもどうぞ

レガートのためにノートをズラす時間値はCSW独自となっており、CSS・CSBとは異なります。
※CSSとCSBもお互い時間値は違っため、各楽器で最適化しているっぽい?

Shortが-60 msというのは共通ですね。

ユニゾン等で、他のCS音源と同じMIDIデータを使いたい場合、レガートに関わる部分だけは再度調整が必要になりますので注意が必要です。

CSWでも 奏法選択によっては大幅にメモリを削減!

CSWでは奏法選択のブロックが5つになっています。(フルートのみFlutterを加えて6つ)
もちろん最終的にはそれぞれの楽曲に思う存分各奏法を使うべきです。

ですが、CSWでは各楽器のCloseマイクは300MB程度、MainやOHはそれぞれ700MB程度のサンプル容量があります。

楽器、そして選択するマイクが増えれば増えるほど、この容量を使っていくわけですから、簡単に10GB以上を消費する勢いです。

少なくとも、DAWの起動・音源立ち上げ・打ち込み時などはメモリを削減し、時間短縮とPC安定化を図りたいところですよね。

そこでおすすめなのがSustainとTrillsのサンプル読み込みを一度解除することです。

この2つの奏法を解除すると、一気にメモリ使用量をそれまでの1/4程度に下げることができます。
※Altキーを押しながら、奏法のブロックをクリックすれば読み込み解除できます。

作曲段階(さきほどの手順でいうと手順4)までは、メモリ使用を抑えた状態で作業できますので、非常にオススメです。

サクッとデモを作ってみた

CSWのフルート、クラリネット、オーボエ、バスーン、コントラバスーンを使用して、デモを作ってみました。

学校帰りに見えた夕焼け空 みたいな情景をイメージして作ってみました。
オーボエの持つ、少し悲しげな音色 大好きです。

今回はリバーブは内蔵も外部でも使わず、各マイクチャンネルの調整のみで響きを作っています。

あとがき

今回は発売後すぐのレビューとなりましたが、いかがでしたでしょうか?

発売直後から各楽器・奏法を試してみましたが、他のCSシリーズを使っていたこともあり、何の迷いもなく作業することができました。

レガートについては全部の楽器の検証はできていませんが、今のところ これまで通り違和感なく動作してくれて嬉しい限りです。(実は、アルゴリズムが変わると最初に知ってからヒヤヒヤしてました。)

また 上のデモを作る際、途中まではマイクの設定を「MIX」にして作業しており、後半に各マイクの音を読み込んでバランスを取りました。
そこで初めて、Roomの音を真剣に確認したのですが、収録されている自然なアンビエンスがとても綺麗で、嬉しさの第2波が!

ここまでで十分満足なのですが、今後追加される予定のアンサンブルパッチも期待です。

そして、このCSWからレガートアルゴリズムが変更されていましたが、この改良版アルゴリズムをCSSへ搭載することが既に発表されています。(CSW紹介動画の3:23~)

そちらのアップデートも、リリースされ次第レビューしたいと思います。

それでは

ばっちょ